2012年07月22日

約10年前の日記を読んだ。

昔、Webに書いた日記を読み返しました。あれから10年近く経ちました。
世の中どう変わったんでしょうね?そして自分はどう変わったんでしょうね?
今の人が「頑張らない宣言」を聞いたら、何を思うんだろう?

以下昔の日記より(リンクは貼れないので、前後も読みたい人は上のメニューから自力でたどってください。)


2003年1月8日 (水) 夜 - 「がんばらない宣言」

故郷岩手では、「がんばらない宣言」という広告をだしており、なかなかの好評らしい。 第一弾の広告には、椎名誠さんの次のような文章が載っています。
何かしていなければ落ち着かない。
つねにがんばっていないと不安になる。
そんなの変だぜ、現代人諸君。
僕が大好きな岩手にでかけてごらん。
気分のいい風と空と雲が、
きらきら、ふわふわ、笑って待っているから。

なかなか大切なことを言っているように思います。 また、「がんばらない」の意味として次のように説明されています。

岩手流「がんばらない」の意味
より人間的に、よりナチュラルに、素顔のままで新世紀を歩き始めましょう。それが岩手の理想とする「がんばらない」姿勢です。例えば、深い森を伐って最先端デザインのビルを建てるのではなく、濃厚な森羅万象に調和した木造りの民家を守ってこそ岩手らしいんじゃないか……そんな「共生」の意識こそが、岩手流「がんばらない」なのです。

この宣言に対し、県議会では「どういう趣旨か」「がんばっている人にがんばるなというのか」などの質問が出されたとか・・・。 このような質問をする人は「がんばらない」の意味するところが、正確にはわかっていないものと思えます。 この「がんばらない」は、文字通り「頑張るな」と言っているのではなく、そもそもなんのために頑張っているのかを考えよ、その根本理由に立ち返れ!という意味を含んでいるように思います。 「頑張ること」=「正しいこと」という等式に?マークを投げかけているのです。
僕たちは、よりよく生きたいと願って「頑張って」来た、そしてこの社会を作ってきたはずなのに、今の時代は閉塞感でいっぱいです。 それは、「頑張ること」=「正しいこと」という等式に、あまりにも重きが行き過ぎて、 「頑張りさえすれば幸せになれる」という、強迫的な悪循環に陥り、 そもそもの「頑張る理由」を忘れてしまっているからではないでしょうか?
その結果として、乱開発や、「古い小学校の校舎は、新しく立て替えさえすればよい」といった考えが生まれたり、「仕事を頑張ることが、家庭の幸せ」と頑張っているうちに、家庭が崩壊する・・・ということが起こるのではないでしょうか?
ここらでもう一度「頑張る理由」を「がんばらない」ことによって、確かめてみるのが良いのではないか? そうすればきっと、そんなに「頑張らなくても」いいんじゃないか! そんな気になるのではないかと思います。
「がんばらない宣言」については、下記ページを参照。
posted by とさかくん at 11:26| Comment(0) | 日記

2012年07月18日

RCL並列回路について思い出す

抵抗、コンデンサー、コイルが以下のように交流電源に並列に接続されている場合の電流について、基本的なことを基本的に考え直してみる。

P_RCL.png

抵抗を流れる電流を$I_R$、コンデンサーを流れる電流を$I_C$、コンデンサーを流れる電流を$I_L$とすると、回路全体を流れる電流$I$は、キルヒホッフの法則より、
$$
I = I_R + I_C + I_L
$$
並列接続なので各素子にかかる電圧は等しい。電圧を基準にしてこの和をベクトルで示すと右側の図のようになる。(コンデンサーに流れる電流の位相が電圧に対して $\displaystyle \frac{\pi}{2}$ 進み、コイルに流れる電流の位相が $\displaystyle \frac{\pi}{2}$ 遅れることを用いる。)

ここで各電流の最大値は前回のブログの結果を見れば、
\begin{align*}
I_{R0} &= \frac{V_0}{R}\\
I_{C0} &= C \omega V_0\\
I_{L0} &= \frac{V_0}{L \omega}
\end{align*}
である。するとコンデンサーを流れる電流とコイルに流れる電流のベクトルを足した合成ベクトル(オレンジの矢印)の大きさは
$$
I_{C0} - I_{L0} = C \omega V_0 - \frac{V_0}{L \omega}
$$
このオレンジのベクトルと抵抗を流れる電流のベクトル(赤い矢印)を足したものが、回路を全体を流れる電流をあらわすベクトルである。
このベクトルの大きさ $I_0$ は、三平方の定理を使えば
\begin{align*}
I_0 &= \sqrt{(I_{R0})^2 + (I_{CO} - I_{L0})^2}\\
&= \sqrt{ \left( \frac{V_0}{R} \right)^2 + \left( C \omega V_0 - \frac{V_0}{L \omega} \right)^2}\\
&= V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}
\end{align*}
よって、インピーダンスは
$$
Z = \frac{1}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}}
$$
したがって、回路全体を流れる電流は
$$
I = V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2} \sin ( \omega t + \varphi )
$$
ただし、この電流の電圧に対する位相のずれ $\varphi$ は以下を満たす角。
$$
\tan \varphi = \frac{C \omega - \frac{1}{L \omega}}{\frac{1}{R}}
$$


同じことを数学的に解く

各素子にかかる電圧は
\begin{align*}
V_0 \sin \omega t &= I_R R\\
V_0 \sin \omega t &= \frac{Q}{C}\\
V_0 \sin \omega t &= L \frac{d I_L}{dt}
\end{align*}
第1式より抵抗を流れる電流は
$$
I_R = \frac{V_0}{R} \sin \omega t
$$
コンデンサーに流れる電流 $I_C$ は、コンデンサーに蓄えられる電荷 $Q$ と
$$
I_C = \frac{dQ}{dt}
$$
の関係にあるから、第2式を用いて
\begin{align*}
I_C &= \frac{d}{dt}(C V_0 \sin \omega t )\\
&= C \omega V_0 \cos \omega t
\end{align*}
第3式より
\begin{align*}
\frac{dI_L}{dt} &= \frac{V_0}{L} \sin \omega t\\
I_L &= \frac{V_0}{L} \int \sin \omega t \, dt\\
&= - \frac{V_0}{L \omega} \cos \omega t
\end{align*}
積分定数は、時間によらず回路に一定の電流が流れ続けることを意味するが、そんなものはないので0とする。
したがって、回路全体を流れる電流は
\begin{align*}
I &= I_R + I_C + I_L\\
&= \frac{V_0}{R} \sin \omega t + C \omega V_0 \cos \omega t - \frac{V_0}{L \omega} \cos \omega t\\
&= V_0 \left\{ \frac{1}{R} \sin \omega t + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right) \cos \omega t \right\}\\
&= V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2} \left\{ \frac{\frac{1}{R}}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}} \sin \omega t \right. \\
&+ \left. \frac{C \omega - \frac{1}{L \omega}}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}} \cos \omega t \right\}
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
\cos \varphi &= \frac{\frac{1}{R}}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}}\\
\sin \varphi &= \frac{\omega C - \frac{1}{L \omega}}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}}
\end{align*}
とおけば
\begin{align*}
I &= V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2} \left( \sin \omega t \cos \varphi + \cos \omega t \sin \varphi \right)\\
&= V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2} \sin ( \omega t + \varphi )
\end{align*}
ただし、$\varphi$ は以下を満たす角。
$$
\tan \varphi = \frac{C \omega - \frac{1}{L \omega}}{\frac{1}{R}}
$$
回路全体を流れる電流の最大値は
$$
I_0 = V_0 \sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}
$$
よってインピーダンスは
$$
Z = \frac{1}{\sqrt{ \left( \frac{1}{R} \right)^2 + \left( C \omega - \frac{1}{L \omega} \right)^2}}
$$
となり、図を使った場合と同じ結果となる。
posted by とさかくん at 21:16| Comment(0) | も研

2012年07月15日

交流回路についてちょっと思い出す

昔ならった、交流回路について基本的なことを基本的に考え直してみる。
交流電源($V = V_0 \sin \omega t$)に抵抗(抵抗値$R \,\,\, \mbox{($\Omega$}$))、コンデンサー(電気容量$C \,\,\, (\mbox{F})$)、コイル(自己インダクタンス$L \,\,\, \mbox{(H)}$)がつなげられているそれぞれの場合について。

抵抗の場合

R.png

電位の式を書けば
$$
V_0 \sin \omega t = IR
$$
抵抗を流れる電流は
$$
I = \frac{V_0}{R} \sin \omega t
$$
となり、電圧と電流の位相のずれはなく、ベクトルで図示すれば、右の図のようになる。
抵抗を流れる電流の最大値$I_{R0}$は
$$
I_{R0} = \frac{V_0}{R}
$$

コンデンサーの場合

C.png

コンデンサーにかかる電圧と蓄えられる電荷との間には$Q=CV$の関係があるから、電位の式を書けば
$$
V_0 \sin \omega t = \frac{Q}{C}
$$
ここで、コンデンサーに流れ込む電流と蓄えられている電荷の関係は
$$
I = \frac{dQ}{dt}
$$
であらわされる。したがってコンデンサーに流れる電流は
\begin{align*}
I &= \frac{d}{dt} (C V_0 \sin \omega t)\\
&= C \omega V_0 \cos \omega t\\
&= C \omega V_0 \sin \left( \omega t + \frac{\pi}{2} \right)
\end{align*}
となり、電流の位相は、電圧の位相よりも$\displaystyle \frac{\pi}{2}$だけ進んでいる。ベクトルで図示すれば、右の図のようになる。
コンデンサーに流れこむ電流の最大値$I_{C0}$は
$$
I_{C0} = C \omega V_0
$$
となる。オームの法則$V = RI$と同様の概念を適用すれば直流回路の抵抗に対応するものとしてインピーダンスを定義できる。コンデンサーのインピーダンス$Z_C$は
$$
Z_C = \frac{1}{C \omega} \,\,\, \mbox{($\Omega$)}
$$

コイルの場合

L.png

このコイルにおける自己誘導起電力は
$$
V_{emf} = - L \frac{dI}{dt}
$$
であるから、電位の式を書けば
$$
V_0 \sin \omega t = L \frac{dI}{dt}
$$
となるので、
\begin{align*}
\frac{dI}{dt} &= \frac{1}{L} V_0 \sin \omega t\\
I &= \int \frac{1}{L} V_0 \sin \omega t dt\\
&= - \frac{1}{L \omega} V_0 \cos \omega t\\
&= \frac{1}{L \omega} V_0 \sin \left( \omega t - \frac{\pi}{2} \right)
\end{align*}
となる。(積分定数は、時間によらず一定の電流が回路に流れ続けることを意味するがそんなことはないので、0とする。)
したがって、コイルに流れる電流の位相は、電圧の位相よりも$\displaystyle \frac{\pi}{2}$遅れている。ベクトルで図示すれば右側の図のようになる。
コイルに流れる電流の最大値$I_{L0}$は
$$
I_{L0} = \frac{1}{L \omega} V_0
$$
コイルのインピーダンス$Z_L$は
$$
Z_L = L \omega \,\,\, \mbox{($\Omega$)}
$$
となる。

これらの回路素子(抵抗、コンデンサー、コイル)が直列あるいは並列につながれている場合、同じように数学的に解くこともできるが、上記のベクトル図を組み合わせて使うことで、電流や電圧の最大値、位相の差などの情報を得ることができる。

コンデンサーやコイルの流れる電流の位相がずれることは高校で習うのですが、高校の物理では基本的には微分積分を使わないはず、、、、。この位相のずれをどうやって微積無しで習ったのかは、もう思い出せない、、、、。
posted by とさかくん at 17:20| Comment(0) | も研